「話題にしてもらう技術」出版裏話と編集者の選び方&売れる著者になる方法!
ビーコミ 加藤恭子 / 技術評論社 傳智之 様
出版のことを知りたい広報担当向けオンラインセミナーレポート
将来本を出してみたい。そんなことを考えている方もいると思います。本レポートでは、 2023年1月18日(水)に、「話題にしてもらう技術」の出版記念イベント第3弾として、書籍出版をテーマに開催された「出版のことを知りたい広報担当向けオンラインセミナー」の中から、出版にまつわる裏話や編集者の選び方などをお伝えします。
このセミナーでは、ビーコミ代表の加藤恭子が「話題にしてもらう技術」を書くまでの経緯や執筆中の進め方、出版後に起きた変化についてお話し、後半では「話題にしてもらう技術」を担当いただいた技術評論社の有名編集者、傳智之さんに、編集者の観点から「出版ですべらないために押さえておくべきこと」についてお話いただきました。
プロフィール
加藤恭子株式会社ビーコミ代表取締役。日本PR協会認定PRプランナー。日本マーケティング学会常任理事(PR部会リーダー)。サイバー大学客員講師(コミュニケーション論)。日本広報学会会員。
横浜市立大学卒。青山学院大学 大学院 国際コミュニケーション学修士。
BtoBのIT企業でPR/マーケティングマネージャーを歴任。記者・編集者の経験も。2006年6月、個人事業をスタート。2007年8月より法人化。記者として取材する側、企業の広報担当として取材される側の両方の経験を活かし、スタートアップから多国籍企業までさまざまな企業のPR/マーケティングを支援。特にテクノロジー企業の広報の実務支援やアドバイス、コミュニケーション活動のサポートが多い。各種媒体での執筆活動や企業・団体・大学向けのトレーニング・講演活動もおこなっている。
共著に『デジタルで変わる広報コミュニケーション基礎』『デジタルPR実践入門』(宣伝会議)などがある。
傳 智之(でん ともゆき)氏『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』(吉田拳 著)や『職場の問題地図』シリーズ(沢渡あまね 著)など技術書から一般書まで幅広く手掛けるヒットメーカー。
2002年に技術評論社に入社。書籍編集部でITの入門書・専門書やビジネス書などの編集に携わる。おもな担当作は『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』(Dain 著)、『2060未来創造の白地図』(川口伸明 著)、『急成長を導くマネージャーの型』(長村禎庸 著)、『10年つかえるSEOの基本』(土居健太郎 著)、『「いい写真」はどうすれば撮れるのか?』(中西祐介 著)、『失敗から学ぶマーケティング』(森行生 著)、『デジタル時代のイノベーション戦略』(内山悟志 著)、『最高の働きがいの創り方』(三村真宗 著)など。
今回は本セミナー内で話された内容の中でも、以下の点に着目しレポートをまとめました。
目次
- 出版の裏話<出版するまでの話>
- 出版の裏話<出版後の話>
- 今後本を出版したいと思われている方へ
- 売れる本の著者になるために必要なこと
- 編集者の選び方・付き合い方
また今回のセミナーレポートの内容は、以下のような方にオススメですので、 当てはまる方はぜひお読みいただき、何かヒントを得ていただけますと幸いです。
こんな方にオススメ
- これから自分で本を書きたいと思っている方
- これから自社(もしくは、クライアント)の本を出したいと思っている方
では、早速本題に入ります。
【1】出版の裏話<出版するまで>
Amazonのマーケティングセールス本カテゴリーでは最高位8位を記録するなど、たくさんの方にお読みいただいている書籍「話題にしてもらう技術」ですが、執筆者である加藤は「出版までには多くの時間を要し、かつ友人等からの多大なサポートがあったからこそ成し遂げられた」と話します。
具体的には、
- 本を出版するまでに、企画してから2年かかった
- 仕事をしながら全部自力で書いたが、途中で何度か大きな壁にぶちあたり、書けなくなくなったことがあった
- 達成しやすいものに自分が流れたこともあった(FPの資格等の資格取得や、断捨離等)
- 「ブログや寄稿をまとめたら本はすぐに完成しそう」と思っていたが、実際にはそうならなかった。noteやアイティメディアオルタナティブブログ、目黒広報研究所などに多数のブログコンテンツがあったものの、内容の重複や、断片的なコラムの寄せ集めでしかなかった。
また、上記でお伝えした状況を改善するために、行ったこととしては
- すでに本を出している人に「どうやって書いたのか」「本を書けなくなったときはどうしていたのか」等話を聞く
- 定期的な進捗確認を友人にしてもらう
- 文字数を記録する
- タイマーをかけてから書く(ポモドーロテクニック)
- 場所を変えて書く
- 友人から「最初からベストセラー狙ってる?」と聞かれ、意識はしていなかったもののもしかしたらすごく高いところを目指していたかもしれないと気づき、思ったことを素直に書いてみる
【2】出版の裏話<出版後>
次に、上記のような状況を乗り越え、いざ出版した後にどんな変化が起こったのかについてお話します。以下の通り、大きく3つの変化があったそうです。
<本に対する反響>
- メディア、PR会社から沢山の反響をいただいた ⇒「よく言ってくれた」「言いたかった事が言語化されている」「PRの仕事のことがよくわかった」等
- 書評が出ると、Amazonのランキングが大きく変動(影響力が大きい)
<多くの方と繋がるきっかけ>
- SNSの繋がりリクエストが急増(他著者の方からも)
<自社の変化>
- 自社のクライアントが本を読み込んでくだり、より深い議論ができるように
- 自社のスタッフが自走することが増えた(本執筆で権限移譲が進んだり、本執筆の過程でスタッフが本を読み込み、広報PRの仕事への理解が深まり、自走できるケースが増えた)
- 元からの知り合いや、転職した元クライアント、SNSでつながっている知り合いの知り合いからの問い合わせや発注が増加(本を読んでいただき、弊社のやり方に改めて共感いただけた)
上記の通り本に対する反響だけではなく、 多くの方と知り合うきっかけになったことや、自社の問い合わせ・発注数増加だけではなく、スタッフの活躍の場を広げることができたという、様々な変化を目の当たりにすることができたと話します。
【3】今後本を出版したいと思われている方へ
以上の話を踏まえ「これから本を出したい」と思っている方へ、アドバイスをお届けできればと思います。
<これから自分で本を書きたいと思っている方へ>
- なぜ本を出版したいのか?」「誰に何を伝えたいのか?」「なぜこのタイミングで出版なのか?」をまとめ、編集者の方や友人知人の意見を聞く(客観的な視点で捉える)
- ブログやnoteなどで少し長めの情報発信を行う(言語化の練習)
- すでに本を出している友人・知人と話してみる(ヒントをもらえる)
<これから自社(もしくは、クライアント)の本を出したいと思っている方へ>
- 社長/社員が1人で書くのはかなり大変で時間がかかるので、他の方法(ブックライター等の専門家にサポートいただくこと)を検討することもお勧めしたい ⇒社員で分担執筆も考えられるが、取りまとめる人が必要かつ多大な時間を要し、通常業務を圧迫することも
- 他社の書籍の事例を収集する(奥付を見ると外部協力者の有無もわかる)
- 書籍のPRを代行する会社を活用する選択肢も(ビーコミはITに強いPR会社ですが、書籍に強いPR会社も存在します)
【4】売れる本の著者になるために必要なこと
ここからは編集者の傳さんより、お話いただきます。
傳さんは、編集者が求めている本は「答えを創る力」のある本だと話します。
※「答えを創る力」とは、以下のことを指します。
- 実用書と呼ばれる本は、 基本的に読者の方が何らかの悩みを抱えていて、それに対する答えを聞きたいと思っていて、そこに対して「これはこう。なぜなら、こういう理由で」という事を説明できること。
- また、理由を説明したうえで読者が「なるほど、こういうことなら自分にもできる」と思っていただけると、読者の考え方や生活を変えることができる。
その「答えを創る力」を身に着けるために必要なこととして、以下の5つが重要だと話します。
- いいこだわり
⇒いいこだわりを持つことで「品質があがる」ことや、「答えに対する実用性」の向上につながる - 自分の言葉
⇒色々な言葉があるなかでも「こういう表現であれば納得・腹落ちするな」という自分だけの言葉で伝える - 共感や納得を生む経験
⇒机上の空論ではなく、自身の経験をもとに伝えられる事(読者の納得力に差が出る) - 数字で語れる実績
⇒成果や効果を客観的に伝える - 運
⇒後に類書が発売されたり、法律が変わるなどの環境の変化なども味方につけられるか
【5】編集者の選び方・付き合い方
出版すると決めた時に「どこの出版社にしようか」と検討するかと思いますが、傳さんは「出版社ではなく、編集者で選ぶのが一番良い」と話します。
その理由としては、
- 出版社も大事だが、編集者によって大きく変わる
⇒編集者が過去に手掛けた本や、SNS等の発信内容を見て「会社や自身のことをよくわかってくれそうだな」と思う方にお願いする
⇒編集者との相性もあるので、見極めながら選ぶ - 肩書きや実績ではなく、関心・理解度で選ぶ
⇒編集者もテーマごとに興味関心が異なるので、自身が書きたいと思っているテーマに対して興味関心を持ってくれる、かつ理解してくださる方にお願いする
また、編集者とお付き合いする中で、以下の点が重要だと話します。
- 編集者の弱点とうまく付き合う
⇒編集者は基本的にはサラリーマンなので、編集者として会社の事情等を組むとどうにもできない部分はあるため、そういった点は割り切っていただくしかない部分もある - 編集者を信じつつ、鵜呑みにしない
⇒編集者は「出版にあたる専門的なアドバイス」はするものの、編集者にも知らない事はたくさんあるため、編集者からのコメントで違和感を感じた時は、鵜呑みにせず遠慮なく議論する
以上が本セミナーのレポートとなります。
今後本の出版をしようと考えている方や、しようと思っているがどういう風に進めていいかわからない、と思っている方がいらっしゃれば、こちらの内容がお役に立てますと幸いです。お読みいただき、ありがとうございました!