広告記事に慣れすぎると取材を受けるのが下手になる?
2015.07.31【 オルタナティブ・ブログ 】
皆さんは記事体広告という言葉をご存知でしょうか?企業の広報やマーケティング担当者は当たり前に知っていることと思います。広告記事などとも言いますね。
これはいわゆる、記事の形をした広告の事です。多くの場合「PR」と書かれていて、最後に問い合わせ先が掲載されていることで「広告」だとわかります。インタビュー形式のものも多いですね。
純広告(通常の広告)や記事と区別してこう呼ばれます。
最近では「広告」と表記しないで記事内にさりげなく混ぜ込ませる手法も話題(一部問題)になりました。
ペイドパブなどととも呼ばれています。今話題のネイティブアドと呼ばれるもので、記事体広告の形のものもあります。
この記事体広告、以下のような場合に非常に効果的です。
- 少し前にリリースした商品なので、ニュース性に乏しい(=記事になりづらい)が、どうしても露出したい
- すでにこの製品に関する記事は出ているが、もっと詳しい内容を読者に伝えて行きたい
多くのメディアでは、記事体広告の制作にも力を入れており、読み応えのあるものも多く見かけます。
ただ、一つだけ、気をつける事があります。
それがタイトルに書いた「取材(を受けるの)が下手になる?」です。
通常、記者による取材は、事前に公開予定の原稿を見る事は出来ません。スポークスパーソンの口から出た言葉は記者の持ってきたレコーダーに録音され、テープを起こし(「テープ起こし」=録音したものをテキストに書き起す作業を指します)、それが整えられて記事に引用されていきます。ですので、約1時間の取材時間の中で、
- 相手が理解出来るように
- 自分の言いたい事が正しく伝わるように
- オフレコ話には触れずに
- かといって保守的になりすぎてつまらなくならないように
話す必要があるのです。これは実はかなり難しいことなのです。
これはある意味「訓練」のようなところがあります。セールストークや司会が得意、プレゼンが得意な人であっても、すぐに出来るものではないのです。
この「訓練」が記事体広告だとやりにくいのです。間違えた内容、言い過ぎた事、足りない事は、掲載前に確認してどんどん修正できてしまいます。実はここで「どこを修正したか」「次から何をどのように伝え、何を伝えないか」を振り返っておく必要があります。
振り返りをせずに修正ばかりを繰り返していると「広告用の取材はいいけど、普通の(記事の)取材は受けたくない。修正出来ないから」という状況に陥る可能性さえあります。
そうなる前に、早めにメディアトレーニングを受けたり、社内で模擬取材を行ったり、プロに教えてもらったりして、取材の受け方を学んでおく必要があります。
思った通りの記事にならなかった場合、何をどう変えれば良かったのか、次回からどうすべきか、を心がけるだけで変えて行く事ができます。
もちろん、単独で取材は受けずに、社内の広報担当者やPR会社の担当者に横に座っていてもらうこと(立ち会い)も重要です。何か言いすぎた、足りなかったときに、彼らが客観的に補足をして、その場で解決してくれるからです。
以下がポイントです。もちろん出来ない事もあると思いますから可能な範囲で。
- 可能であれば事前に質問項目や取材依頼書を取り寄せ、熟読して準備しておく
- ビジュアルエイド(カタログ、パワーポイント資料)を用意しておく(言葉だけよりも伝わりやすくなります)
- 取材に来る記者、媒体について調査しておく(テイスト、興味関心など)
- 過去の取材を振り返りうまく伝わっていないと感じた部分の伝え方を考えておく
- 相手の理解の度合いを確認する(失礼にならないように)
- 社内の広報担当やPR会社の担当者に取材をリードしてもらい、補足してもらう(ご参考:担当者向け取材ノウハウの基本はこちら)
記事も広告もバランス良く組み合わせる事が大事です。よく言われる事ですが
- 広告
- ソーシャルメディア
- オウンドメディア
- アーンドメディア(記事)
をバランス良く必要なタイミングで組み合わせることで相乗効果を生み、企業の知名度も高まるのだと思います。
(注:インタビュー記事等では、広告でなくても事実関係の確認のため、事前に記事の確認が出来るメディアもあります)
※オルタナティブ・ブログ 2015/05/11より、掲載時のまま転載しています。